WOWOWで「罪の声」を観た

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妹に、これはメンタルやられる、、、とおすすめされた映画「罪の声」を観ました。

2020年の映画なんですね。コロナの関係なのか私の気力の関係なのかわかりませんが、この映画をやっていたことも、話題になっていたことも全く知りませんでした。。。

グリコ森永事件をベースにして、事件の内容はほぼそれと同じなのだけど、あくまでフィクションの物語が描かれています。既に時効を迎えた事件の脅迫音声に使われた子供の声にスポットを当て、若い新聞記者が事件の真相を追っていくうちに、3人の(当時の)子供の人生を知ることになります。小栗旬さんが新聞記者で、星野源さんが3人の子供のうちの一人でW主演だそうです(アカデミー賞ではお二人とも賞を受賞されたようで、W主演でも一人は助演男優賞になるのかあ、、と調べながら思ったり)

京都の鴨川沿い(?)にある小さなテーラーを営む星野源さん演じる曽根さん一家が最初のほうの主役で、たまたま天袋から発見した懐かしい玩具やら何やらが入った箱の中に一本のカセットテープと、黒い手帳があったのが全ての始まり。

1984年と書かれたテープと「罪の声」というタイトルで、「あ、察し。。。」となりましたが、曽根さんの人生についてはほんのさわりに過ぎなかった。。。
カセットテープには幼き日の曽根さんの声が不自然に録音されており、手帳に書かれた「ギンガ」「萬堂」のキーワードをネットで調べていくうちに、自分の声が、ある未解決事件の脅迫に知らないうちに使われていたことを初めて知ることとなります。

そこから先はそれほど詳しくは書かないのだけど、主人公の一人の曽根さんだけでもなんて不幸な!となるのに、あとの二人の子どもたちの人生が、、、本当に救いようがなくて。。。(;;)
涙が出るような話と言いたいことですが、涙は出ず、感情がふわっと消えてフラットになっていくような変な感覚になりました。どういうことかわかりませんが、多分、自分の感情が、たくさんの不幸から目を背けようとしたのではないかと思います。

脅迫音声に使われたのは、曽根さんと、他の姉弟二人の合わせて3人ですが、曽根さんと、新聞記者が互いに調べていくうちに浮き彫りになっていった姉弟の人生が、、、物語といえど可哀想すぎる。これが物語であってよかったと思いました。

当時高校生だった姉の同級生の現在を、高田聖子さんが演じているのだけど、高校生だった当時から現在に至るまで、親友の大変な秘密を抱え続けた上、親友は今でも生きているに違いないと信じ続けているのを、高田聖子さんが涙ながらに告白するシーンは、自分の感情が素に戻って涙が出そうになったのを感じました。

また3人めの子供である姉弟の弟のほうの現在の男性の演技もすごかった。今にも死のうとしているところに、居場所を突き止めた曽根さんから電話がかかってくるのだけど、「あなたは幸せなんですか?」的な質問をされて、電話の向こうでぶわっと泣き出して頭に血管が浮き出るところで鳥肌が立ちました。。。あの一瞬で、この人が事件以来どんな辛い思いをして生きてきたかがわかるシーンです。

あ、でも、その男性が最後、お母さんを探そうとテレビの記者会見に出るところで、テーラーの曽根さんがかっこいいスーツを作ってあげるのね。そういうシーンとか、曽根さんと記者の阿久津さんが段々打ち解けて友達みたいになっていく感じとかは、唯一ほっこりするシーンです。

そんなどうしようもなく悲しい話だったけど、出演者がめっちゃ豪華!

最初に火野正平さんが、普通のお爺ちゃんで出てきてびっくり!相変わらずセクシーな雰囲気だけど(笑)本当にただのお爺ちゃんです。
それから、お歳を召しても尚、美声で上品な雰囲気そのままな堀内正美さんも!記者の阿久津さんにもらった名刺を、ささっとメモ代わりにして、しかも表側に書いちゃうところが個人的にツボなシーンです。決して嫌な性格の人物ではないし、寧ろ、昔の情報を隠さず共有してくれる協力者なのだけど、そのちょっとしたシーンで、さりげなく「新聞記者」への扱いが見えるなあというか。いや、でも本当に全く嫌な感じの人じゃなくて、すごい自然な流れなんだけど妙に印象に残ったのよね。
あとは曽根さんの母親が梶芽衣子さん、そして父親の兄(伯父)が宇崎竜童さん。最初稲川淳二さんに見えましたが(え)、しばらくしてやっと宇崎竜童さんだと気づきました。
あとは、個人的に久々に目にして、お歳を召しているけど○○さんだ!という役者さんがたくさん。佐藤蛾次郎だ!!あ!もしかして桜木健一!?(敬称略)みたいな。塩見三省さんも出てたな。どうしても一瞬、深水三章さんとごっちゃになりますがちゃんと名前を思い出した。浅茅陽子さんも出てたなー。皆さん、幼少期に時代劇でよく見た人たちです(笑)とにかくすごい豪華!コロナ禍の去年に、深い重い映画をやってたんだねえ。。。。。。

最近、訳あってバットマンシリーズを片っ端から観ていて、「ダークナイト」で恐ろしくメンタルをやられていたわけですが(その流れで「罪の声」をおすすめされたのもある)、洋画の非現実的に壮大な悲壮感とはまた180度違って、邦画のこじんまりとした悲哀、「地球の片隅でひっそりと存在した大きな哀しみ」みたいな感じ、とても良いと思います。良いと言っていいのかな。感情として良くはないんだけど、映画としてとても完成度が高く、胸詰まるほど訴えかけてきます。映画ってほんっとうにいいですね!

余談ですが、エクスペンダブルズの吹替版と連続して観たので、めちゃくちゃテンションの差が激しかったです。

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